2016年11月24日 (木)

【国際税務】国際的情報交換事績の開示(平成27事務年度)

今日は、今月(平成28年11月)に国税庁により公表された『平成27事務年度における租税条約等に基づく情報交換事績の概要』についてコメントしたいと思います。



ちなみに平成27事務年度は平成27年7月~平成28年6月の期間となります。



今回の概要では、情報交換実績、非居住者金融口座情報の自動交換などについて情報開示されています。



いわゆる「情報交換」については下記三つに分類されます。






1、要請に基づく情報交換



要請することにより他国と情報共有する制度です。
日本から諸外国へ要請した情報交換は
720件(H25)→526件(H26年)→366件(H27年)
と減少傾向にあります。
参考までに諸外国から日本へ寄せられた請求は158件(H27年)です。
日本からの要請の方が多いことは、日本の税務当局が諸外国に比して国際課税を重視していることを表しているといえます。






2、自発的情報交換



他国にとって有益となり得る情報を提供する制度です。
日本から他国へ自発的に提供した情報は
6,881件(H25年)→317件(H26年)→186件(H27年)
とこちらも減少傾向にあります。
諸外国から自発的に得た情報は33件とかなり少ないです。







3、自動的情報交換



一定の支払いについて税務署への提出を義務付けられた資料から把握した非居住者等への支払等に関する情報を外部税務当局との間で共有する制度です。
日本から他国へ提供した情報は
126,000件(H26)→137,000件(H27)→188,000件(H28年)
と増加傾向にあります。
諸外国から得た自動的情報は117,000件となっています。





上記1、~3、のうち3、の情報量の多さが突出しているのは明らかです。



海外での不動産投資や金融投資を実施される方が増えている中、自動的情報交換の有用性はますます高まるものと思います。



また、平成29年1月1日以降開始する「非居住者口座情報の税務当局への報告」制度により、国際的な資金の流れがよりオープンになることは明らかです。



具体的には平成30年以降、毎年4月に金融機関が非居住者(口座保有者)の氏名、住所、居住地国、外国の納税者番号、口座残高、利子、配当等の年間受取総額情報等を、金融機関が税務当局へ提供することとなります。



これは、今までは海外送金等でしかお金の流れ(そして残高等)を知り得なかった税務当局が、より多くの情報を得ることが出来るようになることを意味します。

最後に非居住者口座情報に関する自動情報交換を行う予定の国と地域を列挙しておきます。



【2017年までに初回交換】
アイスランド、アイルランド、アルゼンチン、イギリス、アンギラ、英領バージン諸島、ガーンジー、ケイマン諸島、ジブラルタル、ジャージャー、ターコス・カイコス諸島、バミューダ、マン島、モントセラト、イタリア、インド、エストニア、オランダ、キュラソー、韓国、キプロス、ギリシャ、クロアチア、コロンビア、サンマリノ、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、セーシェル、チェコ、デンマーク、グリーンランド、フェロー諸島、ドイツ、トリニダード・ドバゴ、ニウエ、ノルウェー、バルバドス、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、南アフリカ、メキシコ、ラトビア、リトアニア、リヒテンシュタイン、ルーマニア、ルクセンブルグ






【2018年までに初回交換】

アラブ首長国連邦、アルバニア、アンティグア・バーブーダ、アンドラ、イスラエル、インドネシア、ウルグアイ、オーストラリア、オーストリア、アルバ、セント・マーティン、ガーナ、カタール、カナダ、クウェート、クック諸島、グレナダ、コスタリカ、サウジアラビア、サモア、シンガポール、スイス、セントクリストファー・ネーヴィス、セントビンセント及びグレナディーン諸島、セントルシア、中国、香港、マカオ、チリ、ドミニカ、トルコ、ナウル、日本、ニュージーランド、パナマ、バヌアツ、バハマ、バーレーン、ブラジル、ブルネイ、マーシャル諸島、マレーシア、モナコ、モーリシャス、レバノン、ロシア




国際的課税漏れが生じないよう、今まで以上に注意を要すると考えるべきだと思いました。




あすか税理士法人
高田 和俊


2016年10月28日 (金)

【国際税務】新日独租税協定 平成28年10月28日発効~源泉所得税については平成29年1月1日発効~

全面的な改定が行われている「新日独租税協定」
以前ブログで書いた通り、衆議院で審議が進められていましたが、
まさに今日、平成28年10月28日に新日独租税協定が発効となりました。

源泉所得税については平成29年1月1日から発効となります。


あわせて、今日付で国税庁HPに「新日独租税協定」に関するパンフレット「源泉所得税の改正のあらまし」が公開されました。

「nitidokusozeikyoutei.pdf」をダウンロード

せっかくなので内容をおさらいしましょう。

納税者にとって有利になった改正と、不利になった改正に分けて見ていきたいと思います。


1,有利になった改正

(1)配当
【旧協定】
 親子会社間配当(25%以上保有):10%
 それ以外:15%
【新協定】
 6ヶ月以上10%以上直接保有:5%
 18ヶ月以上25%以上直接保有:免税
 それ以外:15%


(2)利子
【旧協定】
 中央銀行等に支払われる利子:免税
 それ以外:10%
【新協定】
 原則免税
 →利益連動型利子(売上や利益等を計算基礎とする利子)は日本法令に基づき課税
※支払い遅延により課される損害金は上記「利子」に含まれない


(3)使用料(ロイヤリティ)
【旧協定】
 限度税率10%
【新協定】
 免税


2,不利になった改正

【旧協定】
 上記要件を満たせば基本的に租税条約のメリットを受けられた
【新協定】
 そもそも租税条約のメリットを受けるためのボーダーライン(LOB(Limitation on Benefits、特典制限条項)が出来た

 
このボーダーラインについては法人は少々判定が煩雑ですが、個人は比較的シンプルで、日独いずれかの国の居住者であれば足ります。

例えばドイツ居住者(日本非居住者)が日本法人から配当を受けるのに際して、15%(本来は20.42%)の税金で済むメリットを受けようとする人は、平成29年1月1日~配当受取日までに「租税条約に関する届出書」「特典条項に関する付表」を提出する必要があるので注意が必要です。

各種届出には添付書類も必要となり準備に時間が掛ります。
しっかり今からどのような手続が必要なのかを把握して、受けられる恩恵はしっかり受けるようにして下さいね。

国際税務は複雑で、かつ取扱いを間違えると大きな損を被ることになりかねません。

専門家にご相談されることをお勧めいたします。



私たち、あすか税理士法人ではセカンドオピニオン業務を受任しております。



顧問契約を結んでいる税理士に気を遣わずにご相談いただくことも可能
ですので、まずはお気軽にご相談下さいませ。



あすか税理士法人

高田和俊

2016年10月26日 (水)

【相続税】相続税の課税対象検討~海外5年以上居住でも国外財産課税へ~

国際的租税回避を防ぐための課税が進んでいますが、それは相続・贈与の世界も同様です。



平成25年度税制改正
で、

・日本に住所を持たない外国の方(非居住者)  が

・日本に住所を有する人から相続等をした場合

その財産が「国外財産(※)」であっても相続税・贈与税の課税対象となりました


※国外財産
日本の法令では財産を国内財産と、国外財産に分けて課税するか否かを決めており、例えば預金ならその口座がある支店の所在地、保険なら契約した保険会社の本店、株式なら発行法人の本店所在地により判断します。



このときの改正は課税範囲がかなり広がるため、日本に一時的に居を移していた場合の税負担を鑑みて、日本で働くことを躊躇う外国の方もいらっしゃいました。



平成29年度税制改正
では、日本に居を移して一時的に働く外国人が亡くなった場合に国外財産(海外財産)までも相続税が課される法律を見直す方針であるようです。


これにより、能力のある外国の方の招聘する際の壁が一つなくなることになりますね。


一方で、現状では被相続人(亡くなった人)と相続人(相続する人)の双方が5年以上海外に居住している場合、現行法では国外財産には課税されていませんでしたが、今後課税できるように改正が検討されているようです。


相続税節税のために海外移住、という方法がある種ブームのようにもなっていたように感じます。


その部分にフタがされるわけですね。


今後、資産の海外移転にはより注意が必要となります。

誤った情報に惑わされず、信頼の置ける専門家を見つけご相談されることをお勧めいたします。




あすか税理士法人

高田和俊

2016年10月 8日 (土)

【リクルート】インターンシップ2016 No.2 ~アンケート結果公表~

昨日のブログではあすかインターンシップ2016の概要をお伝えしました。

本日は4名のインターン生へ実施したインターンシップ終了後に実施したアンケート結果を公開したいと思います。


インターン前に想像していた会計事務所のイメージと違った
との感想を持ってもらえたのはうれしかったですね!

以下、青文字が質問、黒文字がインターン生回答、赤文字が私のコメントです。


★会計事務所に対する印象

 ・寡黙な事務仕事のイメージがあったが、チームで仕事をする場面もあり意外だった
 ・事務仕事ばかりなイメージだったがクライアント訪問等の外出機会が多いのが意外だった

各自が自分の仕事を黙々と・・・というイメージが押しなべて強かったのだと思いました。 事務所によってばらばらだと思いますが、あすか税理士法人ではスタッフ同士のコミュニケーションはもちろん、パートナーへの相談も行きやすいようパーテーション等はありません。

★会計入力作業

 ・作業前は簡単そうだと思ったがいざやってみると試算表が合わずに大苦戦。確認してみると簡単なうっかりミスが原因だったがミスの原因追及は大変だった
 ・会計伝票をクライアント様が作成してくださっているので比較的簡単だった

会計入力は根気と集中力が必要な作業です。簡単そうに見える作業ですが省力化できるか否かによりかかる時間は全く変わってきます。漫然と作業しないようどれくらいの時間がかかるのかは常に考え作業しています。


★クライアント(会社)訪問

 ・月次訪問で何をチェックするのか全く想像がつかなかったので、数値の変動の理由や修繕費をチェックするポイントなど決算業務に備えての訪問業務の大切さを学んだ。
 ・事務所内での作業ばかりをイメージしていたので、経営者の方とのコミュニケーションをとることがいかに重要かを知ることが出来、勉強になった

あすか税理士法人では「訪問してお会いする」ことを非常に重視しています。表情や会社の雰囲気を感じる中で会話をすることでしか見えないものがあります。その部分を感じてもらえたのは非常にうれしかったですね。



★あすかの印象

 ・「税理士事務所」は狭い部屋で事務仕事をするイメージが強かったが、実際はスペースが広く明るい雰囲気で仕事をする点がイメージと違った
 ・会計事務所は教育せずに技を見て盗ませる。。。と聞いたことがあったが、実際は先輩やパートナーからのフォローがあるため体系的に成長するチャンスがあると感じた

あすか税理士法人では「やる気」がある人を徹底的に支援します。All for Clientsを経営理念に教育を真剣で考える事務所ですが、今の教育方法がベストだと考えず常に変革し続けたいと思っています。また事務所のイメージを覆すことが出来たのはうれしいですね。


★将来的に会計業界で働きたいと感じたか?

 ・今回のインターンシップを通して、やり甲斐のある仕事だと感じたため働きたい
 ・基本の会計業務だけでなく、クライアントに寄り添って税法上の問題点の洗い出し、節税策提案、又は経営アドバイスを行う税理士業務は魅力的だと感じたため働きたい
 ・自分の知識や経験から導き出したアドバイスでクライアント様の希望に沿うことが出来たら素敵だと思うため働きたい
 ・実務の楽しさ、大切さ、大変さを経験し、改めて早く税理士業界で働きたいと感じた

4人ともがこの業界で働きたいと回答してくれました。
何よりこれが一番うれしかったです。私たちの仕事は責任が非常に重いですが、その分、他の仕事では得難いやり甲斐が得られます。


今回インターンに参加した四人ともがクライアントに寄り添う形の会計人になってくれれば、最高です。



総括として、今回のインターンシップは実施して本当に良かったと思いました。


毎年、8月から9月にかけて実施予定ですので興味がある方はいつでもご連絡ください。(大学側の募集時期になったら応募も出しますのでそちらも見てみてくださいね)


最後になりましたが、今回参加してくれた四名の今後の人生が素敵なものとなりますことを心より祈っています。


そして迷うことがあれば是非またいつでも来てくださいね。




あすか税理士法人



高田和俊







2016年10月 7日 (金)

【リクルート】インターンシップ2016 No.1 ~インターンシップ概要~

私たちあすか税理士法人では2016年8月~9月に、5日間に及ぶインターンシップを2回実施いたしました。


大学の就職支援課の方に伺いましたが、私たち会計事務所(税理士事務所)業界ではインターンシップは非常に珍しいそうです(大手監査法人計会計事務所では毎年インターンシップが実施されておりますが主に公認会計士志望者の方がそのターゲットだと思われます)。



その要因は職業上の情報漏えいリスクや、そもそも会計事務所に人的余裕がないことが原因であることが挙げられます。


でも考えてください。そんな要因ってインターンシップ受け入れ企業がやろうと思えば対処できますよね??

私たちは、データ閲覧権限の設定や書類に物理的補正を施し、また持ち帰るメモを確認することにより情報漏えいのリスクヘッジし、人員も余裕がある時期を選ぶことでインターンシップを受け入れることにしました。



私自身そうでしたが、税理士の勉強をしていても実際にはどのような仕事の雰囲気なのかを感じる機会がなかったので、会計事務所に勤める際はドキドキしたのを覚えています。
税理士業界を目指される学生の方に現場の仕事を実感して貰うことで、勉強のモチベーションをあげ、また税理士とて働くイメージを持ってもらいたくインターンシップを実施しました。


今日から二日にわたり、インターンシップ概要(体験して貰った内容)と、インターン生のアンケート結果をご報告したいと思います。


まず今日は、私たちが実施したインターンシップ概要を説明させてください。



~1日目~
AM:事務所オリエンテーションと簡単なビジネスマナー(名刺交換方法など)
PM:会計伝票から会計システム入力
ドキドキの初日は、私たちの会社のルールやビジネスマナーレクチャーが中心です。事前に印刷していたインターン生の名刺をお渡しします。名刺をもらうと気持ちがひきしまりますよね。
会計システム入力はパソコンを使っての会計処理を体験してもらいました。



~2日目~
AM:会計伝票から会計システム入力(続き)
PM:入力後の試算表チェック、調書(※)作成

※「調書」とはあすか税理士法人で導入している各勘定科目の詳細を記した書類です。これにより決算作業がスムーズになり、また担当者不在でも誰でも状況が分かるようになります
二日目は会計入力の続きを実施し、1か月分の会計入力を完了してもらいました。
最初はなかなか合うべき数字が合わないんですよね。。
みなさんは普段試験問題で与えられる「試算表」がどのように作られるのか実感してもらうことで会計を身近に感じてもらえたことだと思います。



~3日目~
AM:会計決算講義(会計基準と中小企業会計事務の違い)
PM:決算書作成補助
財務諸表論で勉強する会計と、実務で中小企業が利用する会計(税務会計)の違いを中心に解説しました。
実際の決算書作成作業に触れることで「流れ」を感じてもらうことが出来たと思います。



~4日目~
AM:法人税講義(減価償却、帳端、別表4・5など)
PM:法人税申告書作成(システムを利用)、クライアント訪問準備
確定決算主義に基づき、会計と税務の考え方相違について講義し、法人税申告資料説明を中心にレクチャーしました。
実際の申告書作成を完成させてもらったので1日目~4日目で事務所内での作業内容を一連で体験してもらったイメージです。



~5日目~
AM&PM:クライアント訪問同行(会計チェック、社長との打ち合わせ同席など)
夜:先輩との懇親会(希望者)
自社で会計帳簿を作成されておられるクライアント様を訪問し、各勘定科目の妥当性・整合性の確認から経営相談対応まで一緒に同席してもらいました。
クライアントの生々しい話は刺激だったはずです。
夜は先輩を交えざっくばらんに食事しました。インターン生からは業界に対する質問、私たちからは今の学生って・・的な話を色々したので3時間ほどがあっという間に過ぎ去りました。



いかがでしょうか。
この業界で働いたことがある方であればわかりますが、新入社員研修をギュッとまとめた感じで、網羅性は非常に高いと自負しています。


私たちは「一連の流れ全般」を是非体験してもらいたいと考え、上記カリキュラムにしました。


特にクライアント訪問(名刺交換も実施します!)が一番のハイライトです。
ですが、クライアント訪問前に行う準備作業である会計入力確認や準備の大切さも懇切丁寧に伝えました。



私たちは「会計帳簿作成」や「税務申告書作成」は誰でもできると考えています。AIが進む現代では機械にとって変わられ得る業務です。

ですが、企業経営者が私たちに求める業務はそんなことだけでしょうか(もちろん帳簿作成や税務申告書も当然重要ですが)。



違うはずです。



経営者の方は会社の業績をリアルタイムで把握することで「これからどうなるのか?」を知りたいはずです。

その上で「今どうするのか?」「これからどうするのがベストなのか?」を一緒に考えることが出来る、又は社長の深層心理にある考え方を引き出すことが出来ることが、これからの私たち会計人に求められていることを伝えました。







クライアント訪問にも同行してもらうことで、税理士業界はクライアントに寄り添うがゆえに直接感謝され、かつその上で報酬も頂ける有り難いお仕事であることを、1週間でしたがインターン生には感じてもらえたのではないかと思っています。



明日は、インターン生に実施したアンケート結果を公表したいと思います。




あすか税理士法人


高田和俊

2016年9月29日 (木)

【国際税務】タックスヘイブン課税見直し~20%以上の国も対象へ~H29税制改正に向け検討

国際的課税の公平性を保つ動きの一環で、財務省は平成29年度税制改正で「タックスヘイブン課税」の見直しを検討しているようです。


以下、2016年9月29日の日本経済新聞から重要と思われる部分を箇条書きで抜粋します(読みやすいように一部編集してあります)。



法人税率20%以上かつ日本より軽課税である国、地域も対象
 →中国・韓国・マレーシア・オランダなど40の国と地域



所得の種類によって課税の有無を判断
 →いわゆる『トランザクションアプローチ』の導入で、事業実態が無ければ課税
   例えば配当、知的財産、ロイヤルティーなどが課税対象となる



法人税率20%以上日本税率未満の国、地域には一定の負担軽減措置有り
 →所得分類不要で、事業実態有無を企業が自主申告



つまり、今までは税率で一定の線引をしてきましたが、これからは税率ではなく事業実態により重きを置き、どこでも得られる所得は日本所得とみなすイメージです。


日本より軽課税だからダメ、ではなくそこに事業実態があれば良いわけなので、今後の海外進出はタックスメリットだけで考えることには非常に大きなリスクが伴うことになりますので、進出前の検討が非常に重要です。


これらはまだ、財務省が税制調査会へ意見提示している段階です。


実際の税制大綱にどのように載ってくるのか経過を見守りたいと思います。



あすか税理士法人


高田和俊



2016年9月27日 (火)

【国際税務】EUがApple社に対して130億ユーロ(1.5兆円)追徴指摘

今日は、アップル社に対してアイルランドが130億ユーロ、日本円で約1.5兆円の優遇税制を与えたとしてEUが指摘している件についてお話ししたいと思います。


まず最初にアイルランドについて簡単に説明します。


アイルランドはグレートブリテン島の西側に位置する島国です(アイルランド島の北側約6分の1は英国領)。

気温は5度~20度と穏やかで、2005年のイギリス誌「エコノミスト」の調査では最も住みやすい国に選出されているそうです。

産業面においては、外資企業は多国籍企業を積極手に誘致しているところに特徴があります。


法人税の実効税率が12.5%と低く、日本ではいわゆるタックスヘイブン課税の対象となる「軽課税国」に該当します。



税率を下げることにより外国の有力企業を積極的に誘致しているアイルランドですから、今回のApple社に対するEUの指摘には当然反対しており、数週間以内に提訴するようです(2016年9月27日、日経新聞朝刊より)。



今回の件に関しては米国でも議論が巻き起こっているのですが、何故、直接課税を指示されたわけでは無い米国でなのでしょうか。



米国では海外で得た利益も米国で稼いだものと考えて課税(全世界所得課税)する制度を導入しており、米国連邦税は30%と高税率です(日本も全世界所得課税である点は一緒です)。


しかし、海外に留保したまま還流していない(つまり米国に送金していない)部分については還流されるまで米国での課税が猶予される制度があります。


「納税猶予」であるので米国がいずれ課税できると考えていた部分に、欧州が先に課税してしまうと、国際的二重課税を排除する「外国税額控除」によって米国が徴収できる税額が減少する可能性があります。


この点について米国国内で議論が起こり、EUの判断を好ましく思っていないわけです。



ちなみに、米国企業が海外にプールしている所得は2兆ドルもあると言われていますので大きな影響がある問題です。
ちなみに米国大統領選では、クリントン候補が海外利益の課税猶予を廃止派、トランプ候補が海外利益に10%強制課税派です。



今回、Apple社はアイルランドと諸外国「居住者」に対する考え方の違いを利用し、『アイルランド子会社が全世界どこの国の居住者にも該当しない形』で税務申告するなどの手法により、実質税負担が1~2%、特に2014年度に限っては実質税負担が0.05%だったとのことなので驚くべき低税率です。(一般的に居住者の税負担が大きく、非居住者の税負担が軽くなります)


まさに各国税制の『穴』をぬったグローバルタックスメリットを享受したといえるかもしれません。


このような報道を見ると、「違法ではないが行き過ぎたと感じられる節税策」を全世界的に排除する動きは確実に進んでいると感じます。しかし、税制優遇を政策にしている国・地域がある中では思惑が絡み合い一筋縄では解決しないだろうなと思います。


今回のスキームについて、違法でない以上、指摘が入ることに正直違和感を感じます。

必要があるならば法改正し、法改正後の取引について課税すべきだと思います。


今回、Apple社のアイルランド子会社はペーパーカンパニーではなく、1980年代から会社を置き、従業員数は6,000名を超え雇用面でも大いに貢献している点から考えても、疑問符がつくところです。



同様のケースをApple社だけでなく、他の巨大企業にも目を向けているようなので、今後の動きに注目ですし、アイルランドがEUを提訴した場合の決着も気になるところです。



あすか税理士法人

高田和俊




2016年9月20日 (火)

【国際税務】移転価格税制における文書化(Documentation)平成28年改正

以前より移転価格税制に係る文書整備(文書化)が義務付けられていることは皆さんご損時のことと思います(平成22年度改正)。

移転価格税制の対象となる取引を明確にし、どのように価格決定を行ったのか等を記載する文書できっちり作ると膨大な量になります。
文書化を大手事務所に依頼することは費用面で中小企業には負担が大きいため、中小会計事務所がより低価格でのサービス提供を展開しています。
費用負担が大きいから何もしない、は一番まずいです。
文書量が少なくても良いので何がしか準備しておくことが肝要だと感じます。

そんな移転価格税制の文書化(ドキュメンテーション)ですが平成28年4月1日以後開始事業年度以降、随時大きな改正が入っていることをご存知でしょうか。
今日は、平成28年度税制改正で変わった移転価格文書についてブログを書きたいと思います。

移転価格税制では届出一つと文書三つがルールになっています。

【届出】
「最終親会社等届出事項」の提出


【文書】
「ローカルファイル」の同時作成及び保管
「CbCレポート」の1年内作成及び提供
「マスターファイル」の1年内作成及び提供

以後簡単に説明しますね。


「最終親会社等届出事項」の提出
特定多国籍グループ(連結売上1,000億円以上のグループ。以下同じ)内の日本法人が提出します。
最終親会社(グループのトップのイメージ)の名称、本店又は主たる事務所の所在地、法人番号、代表者の氏名を事業年度末までにe-taxにて記入し電子送信する必要があります。(日本法人のすべてではなく代表を定めることも可能)
平成28年4月1日以後開始事業年度からスタートとなっています。
手続き面はこちらをご参照ください。


「ローカルファイル」の同時作成及び保存
これは今までの文書化で求められていたものと近いのですが、作成義務がある部分、免除される部分及びそれらの税務調査での提示期限が明確になりました。
この文書には国際関連者間での取引における価格たる独立企業間価格(ALP, Arm's length price)を算定するために必要とされることを記載します。
これらの書類を確定申告書提出期限までに作成する必要があることから「同時文書化」と呼ばれています。
なお、前事業年度ベースで一の国外関連者との「取引金額合計が50億円未満」かつ「無形資産(ロイヤリティなど)取引金額合計が3億円未満」である場合には同時作成は義務ではなりません(作成義務が免除、ではありません)。
上記、税務調査での提示期限は45日~60日となっています。
指摘を受けてからでの文書作成はとてもではありませんが間に合いません。
事前準備が肝要です。
ローカルファイルの例示についてはこちらをご参照ください。


「CbCレポート」の1年以内作成及び提供
CbCレポート(国別報告事項)は最終親会社等情報、各国関連会社の事業内容・決算数値等を特定多国籍企業グループの日本法人に報告させる書類です。(こちらを参照)
最終親会社等が日本法人である場合は、当該日本法人が提出した情報が各国関連会社の所在地国へ「情報交換制度」により提供されます。
また、最終親会社等が外国法人である場合は、原則として手続き不要(情報交換制度により日本税務当局が情報収集出来るため)ですが、情報国間制度が整っていない国など特定の国に関連会社がある場合は、日本法人に提出義務が課せられる場合がある点に注意が必要です。
平成28年4月1日以後開始事業年度よりe-taxにて提出義務(があり、提出しなければ罰則もあります。提出期限は最終親会社等の事業年度終了の日の翌日から一年以内で使用言語は英語です。


「マスターファイル」の1年以内作成及び提供
マスターファイル(事業概況報告事項)は特定多国籍企業グループが、組織構造、財務状況等を記載した書類となります。(詳細はこちらをご参照ください)
平成28年4月1日以後開始事業年度よりe-taxにて提出義務(があり、提出しなければ罰則もあります。提出期限は最終親会社等の事業年度終了の日の翌日から一年以内です。
国際税務については中小企業への負担が大きいと感じます。
しかし何も対策をとらないことは非常に危険で、逆を言えば準備をある程度行っておけばとりあえず及第点ではないかと思います。
国際税務に不安がある企業様は是非、セカンドオピニオンでのダブル税理士導入をご検討くださいませ。
高田和俊



2016年9月 9日 (金)

【国際情勢】東南アジアへの投資(2016.9.8日経朝刊より)

2016年9月8日、日経新聞の朝刊に東南アジアへの投資に関する記事が載っていました。

従来ASEAN向け投資額について欧州がトップでしたが、2015年にASEAN域内での投資がトップに入れ替わったとの記事でした。

タイ企業がベトナム企業へ投資し、ベトナム企業はミャンマー企業やカンボジア企業へ投資する、などASEAN域内でお金が回るイメージです。


そんな記事を見たので、ふとアジア諸国のGDPが気になり調べてみました。

下記グラフは名目GDP(ドル換算)です。(IMF公表データより作成)

言わずもがなですが、名目GDPは物価変動を無視したGDPとなります。

Gdp

人口が多いインドネシアがやはり突出して高いですね。しかしここ数年減少基調です。

個人的にはタイを台湾が上回っていることに驚きました。

日本・韓国・インド等を入れるとグラフが見にくくなるので除きました。


次に名目GDPの成長率をグラフで見てみたいと思います。

Gdp_3

2009年の凹みは、ご存じの通り「リーマンショック」の影響ですね。

ドル換算ですので為替の影響も受けるため、そのまま指標として比べることが正しいのかどうかの議論はあろうかと存じますが、国々の比較指標の一つとして名目GDP(ドル換算)は一定の意味があるのだと思います。


中小企業が何処の国に進出するのか中長期的な経済情勢も見極めながら検討する必要があり現地プロフェッショナルとの連携が大事だとつくづく感じます。


最後に名目GDPグラフに、米国・中国・日本・韓国・インドを入れたグラフを掲載します。

これを見て皆さんは何を感じられましたか?

Gdpno2


あすか税理士法人

高田和俊


 

2016年9月 8日 (木)

【国際税制】税逃れ防止策強化へ~平成29年度税制改正大綱に盛り込み目指す~

パナマ文書に象徴されるように国際的な課税逃れが横行し、それに対して各国は急ぎ対応していることろです。


具体的には、経済協力開発機構(OECD)がまとめてた計画に沿って基本的に法整備を進めています。


現在の法制度における「綻び」の解決に向けた行動計画「BEPS(税源浸食と利益移転)」です。


そんな中、日本政府は上記法整備を更に踏み込んだ形で前に進めようとしています。

現行法令では、軽課税国(20%未満)にある子会社等ペーパーカンパニーでなくても、一定の所得(配当やロイヤリティなど)について日本で課税される制度があります(資産性所得の合算課税)。

この法令を、軽課税国以外(つまり20%以上の国)にある子会社等が得た一定所得について、日本で合算課税してしまうように改正をしようとしているのです。


オランダ
マレーシアで配当等を受けるタックス戦略をもっていた企業などは、今後の動きに注意が必要ですね。

詳しい税制大綱が出てきましたら注視していきたいと思います。



あすか税理士法人

高田和俊

«【相続税】海外資産相続申告漏れが増加(日経2016.9.5記事より)

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