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2017年10月13日 (金)

【国際税務】トヨタ自動車で使用料(ロイヤリティ)源泉支払漏れ~使用地主義と債務者主義~

本日(平成29年10月13日)の新聞記事によると、トヨタ自動車が名古屋国税局の税務調査を受け、世界ラリー選手権のラリーカー開発等に関連して、外国子会社へ支払った使用料(ロイヤリティ)等を巡って源泉徴収漏れが指摘されたようです。
2015年から2年間で、不納付加算税を含めて3億円追徴と報じられているのでインパクトは大きいですね。

以下、トヨタ自動車は詳細のコメントを控えていますので、筆者の推測が入る点ご了承下さいませ。


トヨタ自動車のHPによると、同社はドイツにモータースポーツ車両開発の欧州拠点となる子会社があるようです。恐らく、この子会社に対してロイヤリティを支払う際に、所得税納付(源泉徴収)漏れが生じたものと思われます。



そもそも日本の国内法(所得税法)では、国内業務に係るロイヤリティ支払を国内源泉所得と定める『使用地主義』を採用しています。
日本で開発を行っていれば国内源泉扱いで源泉徴収が必要、国外で開発を行っていれば国外源泉扱いで源泉徴収が不要となりますね。


一方、旧日独租税条約(平成28年12月以前)によると、ロイヤリティの使用地にかかわらず、ロイヤリティの支払者(債務者)の居住地国を源泉地とする『債務者主義』を採用しています。


これらのように国内法と租税条約で異なる取扱いが定められている場合、納税者有利を選択できる『プリザベーションクローズ』という考え方があります。

しかし一方で、国内法(所得税法第162条)では、源泉地国に関する考え方については国内法より租税条約を優先する旨の規定があるため、結局租税条約が適用されることとなり、『債務者主義』により源泉徴収の有無を考えることとなります。


つまり今回のケースでは日本に源泉徴収権があることとなります。


日本で直接役務提供を受けていなくても、日本で源泉徴収し、日本国に納税する必要があることは直感的に違和感がありますよね。
だから注意が必要です。


ちなみに、平成29年1月1日以降に支払うロイヤリティについては新日独租税条約の適用を受け、ロイヤリティに関する源泉税は免税となっております。
この適用を受けるには一定の手続が必要ですのでご注意下さい。


今回のトヨタ自動車のケースは2015年から2年間について税務否認を受けたようですので、旧日独租税条約に基づき10%の源泉徴収+不納付加算税(罰金)が課税されたものと推測されます。


国際取引に関する税務は非常に複雑です。
国際税務に明るい会計事務所にご相談されることをお勧めいたします。



あすか税理士法人
高田和俊

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